むかし、ジョージアのテレビCMで流れていた、ウルフルズの「明日があるさ」を覚えてゐるだらうか。

その歌詞に、「新しい上司はフランス人、ボディーランゲージも通用しない」という一節があった。

ところが、私の場合、新しい上司は中国人だった。しかも、日本語が非常に堪能で、ボディーランゲージなど必要のない人だったのである。

今回は、そんな彼の仕事ぶりや行動について、私なりの観察眼で書き綴ってみたい。

これから書くことには、多分に私の主観が含まれてゐる。また、一部だけを読むと、誤解を招くところもあるかもしれない。

しかし、後日予定してゐる投稿まで読んでいただければ、その背景にある事情も見えてくるはずである。どうか、ここで読むのをやめず、翌日以降の記事にもお付き合いいただきたい。

さて、前回の記事でも述べたが、日本でITエンジニアとして働いてゐる外国人の方々は、私の知る限り、日本人と変わらないほど流暢な日本語を話し、日本人の考え方や職場の習慣もよく理解してゐる方が多かった。

当時、私の上司だった彼も、その一人である。

大学では情報処理を専攻し、実務経験は二十年近く。インフラ技術に関する知識も経験も一級品だった。

優れてゐたのは、専門技術だけではない。

会議で発言するときも、部下に指示を出すときも、論理的な裏付けをもって説明する。そのため説得力があり、仕事の進め方も実に丁寧で、細かなところまで行き届いてゐた。

いわゆる「できる人」である。

ところが、そんな完璧に見える彼にも、私にはどうにも理解しにくい行動がいくつかあった。

一つは、どれほど厳しい条件の仕事を抱えてゐても、ほぼ定時になると仕事を切り上げてしまうこと。

もう一つは、少しでも体調に不安があれば、体調が万全になるまで休むこと。

そして、私が特に気になってゐたのが、作業承認を得るための段取りだった。

彼は、自分の上司から作業承認を得るにあたり、事前の根回しをほとんどしなかった。承認に至るまでの手続きは、担当者に任せてしまうのである。

しかも、それは、どのような状況でも変わらなかった。

たとえば、彼の承認がその日のうちに得られなければ作業を延期せざるを得ず、その後の作業計画まで破綻しかねない。そんな切迫した状況でも、である。

若い方なら、「何だ、その程度のことか」と思われるかもしれない。

しかし、当時、私が携わっていた業務では、最終的な作業承認を得るまでに、実に複雑なルールを踏まえ、多くの関係部署や役職者から承認を取り付ける必要があった。

納期にも余裕はなかった。

その最初の承認者である彼が、病気などで突然三、四日休んでしまうと、作業計画への影響は小さくなかったのである。

あまりにも同じようなことが続いたため、直属の部長が、彼の欠席した会議の席で、こんな趣旨の嫌味を口にしたことさえあった。

「テレワークなんだから、承認のためだけに一日くらい出てこられたんじゃないか」

彼は病欠で会議を休んでゐた。その場に本人はいなかった。

この部長の発言を聞いて、皆さんはどのような感想を持たれるだらうか。

ちなみに、この部長殿は私と同年代で、平成の初めごろから社会人として働いてきた人である。

なぜ、このような発言が出てきたのか。

そして、私はこの一件を、どのように受け止めることになったのか。

その続きは、翌日以降の投稿でお話ししたいと思ふ。