発注したサーバは、いつ届くのか――IT現場と国際物流

この十年来、特に顕著になってきたと感じるのが、システム関連機器を発注してから納品されるまで、かなりの時間を要するようになったことである。

クライアントからプロジェクトを受注し、人員の確保にはすぐに目途が立ったとしても、サーバ機器が届くまでに数か月かかる。そのため、サービスの開始まで一年以上お待ちいただく、ということも珍しくなくなった。

せっかく苦労して手配した人員に、機器が届くまで待機してもらわなければならない。これでは、プロジェクトを進めたくとも進められない。

このようなIT技術者の待機時間については、以前の記事でも触れたので、併せてお読みいただければ幸いである。

少し考えてみれば、こうした事態が起きる背景も見えてくる。

年々、システム関連製品の多くは海外で製造されるようになり、注文を受けてから日本に届くまで、国境を越えた輸送に時間を要する。また、国内企業が海外に生産拠点を設けることも珍しくない。

そもそも、製造から配送までを一つの国だけで完結させる製品は、そう多くない。原材料や部品の調達、個々の部品の製造、組み立てなどを複数の国にまたがって行う。製品によっては、数十か国に及ぶサプライチェーンに支えられているものもある。

こうした仕組みは、各国が得意とする分野を生かし、コストを抑えながら製品を供給するうえで合理的なものだろう。されど、どこか一か所で問題が起きれば、その影響が遠く離れた国にまで及ぶことがある。

その一例が、コロナ禍である。

感染拡大によって生産や輸送が滞り、国際物流にも大きな影響が出た。マスクなどの医療用品をはじめ、さまざまな物資の需要が急増したことも、供給網に負荷をかけた要因の一つだったと考えられる。ただし、個々のサーバ機器の納品遅延に、どの要因がどれほど影響したのかまでは、一概には言えない。

さらに、国際紛争も無視できない要因である。

世界各地で紛争が起きれば、輸送経路が制限されたり、特定の地域からの部材供給が滞ったりすることがある。製品を構成する部品のうち、たった一つでも調達できなければ、製品全体の納品が遅れる可能性がある。必要な部品を別の調達先に切り替えようとしても、すぐに代替できるとは限らない。

貿易が活発になり、コストに見合った国や地域で製造・販売を行うことで、適切な価格で製品を調達できるようになった。これは、たいへん好ましいことである。

その一方で、原材料や部品、完成品が多くの国を経由するようになった結果、各国の政治情勢や国際紛争に振り回されることもある。世界規模で効率化を進めたはずが、世界のどこかで起きた問題によって、手元にある一台のサーバが届かなくなる。実に皮肉なことである。

一昔前なら、1Uのサーバ機一台を手配するのに、数か月も待つとは考えにくかった。ところが今では、納品までに数か月を要することもあり、発注する側は、いつ届くのかと気を揉むことになる。

プロジェクトの計画を立てる際には、人員や作業工程だけでなく、機器がいつ手に入るのかも考慮しなければならない。技術者の努力だけでは、どうにもならない事情が、仕事の進み具合を左右するのである。

今では、一人のエンジニアであっても、こうした国際情勢や物流の動きに関心を持つ必要がある、ということなのだろうか。

目の前のサーバ一台が、世界のさまざまな事情とつながっている。ITの仕事をしていると、そんな当たり前のことを、機器が届くのを待ちながら思い知らされるのである。