0.はじめに

介護、とりわけ親の介護となると、どうしても重々しい空気に包まれ、暗い気持ちになりがちです。実母の介護を経験した身として、その苦しさや息の詰まる感覚は痛いほど分かります。

だからこそ、これからお伝えする記録を、少し一歩引いた冷静な目で見つめてみてほしいのです。

介護とは、当事者である“今”を乗り切って終わりではありません。その先にある「解放」、あるいは「自分自身の老後」にまでつながっていく長期戦です。だからこそ、本格的に介護生活へ突入する前に、ほんの少しの知識と――何より「覚悟」だけは持っておいたほうがいい。私はそう痛感しています。

もっとも、ここで細かな介護テクニックや制度の仕組みを解説するつもりはありません。なにせ私の介護生活が幕を閉じてから、すでに8年の歳月が流れています。この間に働き方改革やコロナ禍、テレワークの普及など、私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変化しました。当時基準の古い実務ノウハウを今さらドヤ顔で語っても仕方がありません。

大切なのは、制度の解説ではなく、「我が家ならどうするか?」をそれぞれの立場で反芻してもらうことです。

登場するのは、我が家のようにアクの強い、一癖も二癖もある個性的な面々ばかり。息子と母、娘と父、あるいは同性同士の母娘など、性差によって泥沼化するポイントもまったく異なります。

細かいことは抜きにして、**「ココが変だよ、この一家」**というバラエティ番組を覗き見るようなノリで。あるいは、笑えない現実を笑い飛ばすための「我が家の始末書」として、エンタメ感覚でこの記録を楽しんでいただければ幸いです。

――ここから先の有料ページでは、あの日の面会室で母が放った「まさかの一言」と、そこから始まった我が家のガチでキケンな介護サバイバルの幕開けをお届けします。